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富裕層がお金を投じる「健康」と「教育」

新型コロナウイルスの感染拡大によって大打撃を受けている日本経済。そうした中で、富裕層の資産管理や消費行動はどのように変化しているのか、富裕層の実態に迫る。今回は、富裕層の「使う」についてお伝えする。

派手な遊びをやめる富裕層

「新型コロナウイルスの第2波、第3波が来て、爆発的に感染者が増えてから、すっかり銀座に飲みに出なくなった。それまでは、毎週のようにすごい金額の飲み代を落としていたのがバカらしく思えてきた」

ある未上場企業を経営する男性は、2021年に入って2度目の緊急事態宣言が出された時、このように語った。親の会社を継いで保有資産は数十億円規模。以前は頻繁に銀座のクラブに飲みに出掛けては、1回当たり30万〜50万円は支払っていたという。経営者仲間と飲む時などには100万円を超えることもザラだったそうだ。

それが新型コロナをきっかけに飲みに出掛けなくなった。「飲みに行くのはほとんど習慣だった。それが外出自粛で外に出ないのが当たり前になり、俺は今まで何をしていたのだろうと思うようになった」と男性は笑いながら語る。

ファミリーオフィスを運営する男性は、「新型コロナをきっかけに、60代以上の富裕層たちのお金の使い方が変わってきた印象だ。それまでは、銀座や六本木などで派手に飲んだり、プライベートジェットだ、クルーザーだと高い買い物をしたりしていた人たちも、そうしたものにお金を使わなくなっている」と明かす。

比較的高齢の富裕層は新型コロナ感染時のリスクが高く、外出を控えているという。そのため、そうしたものにお金を投じる「意味がなくなった」(ファミリーオフィス運営者)というわけだ。

高級人間ドックや肝細胞治療が大人気

では、彼らは何にお金を使っているのだろうか。ファミリーオフィス運営者は「やはり医療だ。中でもアンチエイジングや予防医療といったものに関心が高い。以前から関心は高かったが、新型コロナによって加速したイメージだ」と語る。

「僕が毎年受けている人間ドックは、入会金200〜300万円、年間費は約50万円だが、それでも会員は増え続けているようだ。寿命を少しでも伸ばしたければ、健康への投資が盛んになるのは当然の流れで、お金が余れば余りほど、健康分野にお金が流れていく」(30代上場企業オーナー)

実際、セコムやリゾートトラスト社が運営する高級人間ドックは入会金が数百万円クラスだが、需要が旺盛であるようだ。

また、健康意識が高い富裕層に人気なのが「肝細胞治療」に代表される「再生医療」だという。幹細胞とは、分裂して自分と同じ細胞を作る能力と、別の種類の細胞に分化する能力を持ち、際限なく増殖できる細胞のこと。そうした能力を持つ幹細胞を培養して増やした後、数回にわたって点滴で体内に注入する。

ただ、こうした医療はまだ研究段階で、医療としてはまだ確立されていない。そのため、体調が良くなりやすい、肌の調子が良くなりやすい、寝起きが良くなりやすい、足腰が痛くなくなりやすいなど、どのクリニックも「病気に効く」とは謳っていない。どちらかといえば、美容やアンチエイジングといったものを全面に押し出している。

それでも「富裕層たちはお金に糸目をつけない」(ファミリーオフィス運営者)という。「富裕層の多くは『日頃からケアして免疫力を高め、新型コロナにうつらないような体を作っておきたい』と口を揃える。そのため、まだ医学的に完全には認められていない医療であっても、評判の良いサービスと聞けば、たとえ金額が高くても試す富裕層が増えている」とファミリーオフィス運営者は明かす。

若い富裕層は子どもの教育に走る

若い富裕層たちも変化している。そもそも、30〜40代の富裕層は、60代や70代の富裕層がやるような派手な遊びにあまり興味がなく、どちらかといえば冷ややかな目で見ていた、というのが通説だった。

そんな彼らが最近、熱心にお金を使っているのは子どもの教育だ。もちろん、富裕層たちは以前から子どもの教育について熱心だった。それが最近はさらに加速しているという。

「新型コロナで将来が見通せない中で、今後も事業が前途洋々である保証はない。子どもたちに十分な教育を施して、どのような時代においても生きていける能力を身につけさせたい」と40代の富裕層は語る。2名の子どもには、月100万円以上をかけて様々な習い事をさせているそうだ。

富裕層が子どもの教育に熱心なのは、資産移転の意味合いもある。富裕層の子どもの教育費は、ほとんどのケースにおいて親もしくは祖父母が支払っているだろう。このとき、あまりにも相場とかけ離れた金額であれば問題であるが、基本的には贈与税などの税金はかからない。

つまり教育費の支払いを通じて、親のバランスシート内の「金融資本」から、子どものバランスシート内の「人的資本」へ合法的に資産を移転できるというわけだ。頭脳や人脈に税金は掛けられない。

例えば、スイスのボーディングスクールに通わせて、世界中の超富裕層の子どもたちと机を並べれば、将来、すごいネットワーキングになるだろう。これは非常に効率が良い。なぜなら、贈与税の年間非課税枠は110万円だが、ボーディングスクールに通わせれば、それとは比べものにならないほどの大きな金額を非課税で移転できるからだ。

富裕層の「殖やす」「守る」「使う」

コロナ禍によって失業率や空室率が悪化し実体経済が減速しているなか、多くの富裕層はそこまでダメージを負っていない現実が見えてきた。

むしろ、リスク資産保有額が相対的に大きい富裕層は、過去最大規模の金融緩和によって、資産額を大きく殖やしているケースもある。コロナ禍によって、日本でも経済格差が大きくなっていくのか。今後の富裕層動向に注目したい。

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