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投資信託をNISAで購入する前に理解しておきたい5つの注意点とメリット

投資信託に限らない話ですが、資産運用がうまくいった際に避けて通れないのが「税金の負担」です。投資信託の利益には、原則として20%(所得税15%+住民税5%)の税金がかかります。また2013~2037年までは、復興特別所得税として各年分の基準所得税額に2.1%を乗じた額を追加で納付する必要があります。そのため、所得税15%×2.1%=0.315%を加えた「20.315%」の税金がかかることになります。

例えば、100万円で購入した投資信託を110万円で売却し、10万円の利益が出た場合は、2万315円を税金として納付することになり、手残りが7万9,685円になります。決して少なくない負担といえるでしょう。そこで活用したいのが「NISA」です。NISAは、「NISA口座(非課税口座)」内で購入した株式や投資信託などの金融商品から得られる利益が非課税になる、つまり、税金がかからなくなる制度です。今回は、NISAで購入するときの5つの注意点と、NISAで運用するメリットについて解説します。

投資信託などの運用益が非課税になるNISAとは何か

NISA とは、「Nippon Individual Savings Account」の頭文字から取った略語で「ニーサ」と読みます。NISAは自助努力に基づく資産形成を支援・促進する目的から政府が導入した税制優遇制度です。2014年1月からスタートし、NISA口座を利用すれば、毎年一定金額の範囲内で購入した株式や投資信託などの金融商品から得られる利益がすべて非課税となります。

一口にNISAといっても2021年9月時点で「一般NISA」「ジュニアNISA」「つみたてNISA」の3つがあります。「ジュニアNISA」は、未成年者(0~19歳)を対象とした少額投資非課税制度です。「ジュニアNISA」は、2023年末での廃止が決まっているため、今回は「一般NISA」と「つみたてNISA」を中心に解説していきます。

一般NISAの概要

一般NISAは、2014年1月にスタートした小額からの投資を行う人のための非課税制度です。非課税期間は最長5年で、1年間の新規投資額の上限が120万円までとなっています。例えば投資信託に投資した場合、元本の運用により生じた収益から支払われる利益である「普通分配金」と売却時の「譲渡益」が非課税になります。 概要は以下の通りです。

 

利用できる人 日本に住んでいる20歳以上の人(口座を開設する年の1月1日現在)
非課税対象 株式・投資信託などへの投資から得られる配当金・分配金や譲渡益
口座開設可能数 1人1口座
非課税投資枠 新規投資額で毎年120万円が上限(非課税投資枠は最大5年間で600万円)
非課税期間 最長5年間(ロールオーバー可能)
投資可能期間 2014~2023年

(出所:金融庁ウェブサイト NISAの概要)

つみたてNISAの概要

つみたてNISAは、特に少額からの長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度です。非課税期間は最長で20年間で、1年間の新規投資額の上限が40万円となっております。概要は以下の通りです。

 

利用できる人 日本に住んでいる20歳以上の人(口座を開設する年の1月1日現在)
非課税対象 一定の投資信託への投資から得られる分配金や譲渡益
口座開設可能数 1人1口座
非課税投資枠 新規投資額で毎年40万円が上限(非課税投資枠は20年間で最大800万円)
非課税期間 最長20年間(ロールオーバーは不可)
投資可能期間 2018~2037年

(出所:金融庁ウェブサイト つみたてNISAの概要)

一般NISAでは、各金融機関で取り扱いのあるほとんどの投資信託を購入できますが、つみたてNISAの対象商品は長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託に限ります。金融庁の「つみたてNISA対象商品届出一覧」を確認すると、2021年6月18日時点での対象銘柄は199本です。 例えば公募株式投資信託の場合、以下の要件をすべて満たすものと定められております。

  • 販売手数料はゼロ(ノーロード)
  • 信託報酬は一定水準以下(例:国内株のインデックス投信の場合0.5%以下)に限定
  • 顧客一人ひとりに対して、その顧客が過去1年間に負担した信託報酬の概算金額を通知すること
  • 信託契約期間が無期限または20年以上であること
  • 分配頻度が毎月でないこと
  • ヘッジ目的の場合等を除き、デリバティブ取引による運用を行っていないこと

前述の通り、「販売手数料はゼロ」、「信託報酬は一定水準以下」、「分配頻度が毎月でないこと」などが選定条件となっているため、選択肢が狭まってしまう一方、長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託に絞られているので、資産運用の初心者からは「わかりやすく取り組みやすい」という声も聴かれます。

投資信託をNISAで購入する前に理解しておきたい5つの注意点

前述の通り、一般NISAとつみたてNISAは、どちらも投資信託から得られる利益がすべて非課税となるため、有効活用したい制度です。それでは、実際に投資信託をNISAで購入するときは、どのようなことに気をつければ良いのでしょうか。今回は、購入する前に理解しておきたい注意点を5つ紹介します。

1.非課税とはいえ元本割れリスクがなくなるわけではない

投資信託で運用する以上、銀行預金とは異なり元本割れリスクがあります。NISA(一般NISA、つみたてNISA両方とも)は「利益が発生したときに非課税になる制度」であり、NISAで運用したからといって必ず利益が発生するとは限りません。そのためNISAは、「運用がうまくいったときに税制の優遇を受けられる制度」と理解しておきましょう。

2.どちらか一方しか選択できない

前述の表を見ると「一般NISA」、「つみたてNISA」のどちらも「口座開設可能数は1人1口座」と記載してあります。これを読んで、「両方を同時に口座開設できるということ?」と思われた方もいるかもしれません。 NISA口座は、両方同時に口座開設することはできず、どちらか一方を選択することになります。ただし、一般NISAとつみたてNISAは1年単位で変更することが可能です。また、口座開設している金融機関を変更したい場合も1年単位であれば変更ができます。

3.非課税投資枠は翌年に持ち越せない

一般NISA、つみたてNISAともに年内で非課税投資枠の未使用分があっても、翌年以降に繰り越すことはできません。「限度額いっぱいまで投資信託を購入したかったのに購入手続きを忘れてしまった」とならないように注意してください。 ただし、無理に非課税投資枠の上限まで購入する必要はありませんので、経済的な負担に無理がないように計画的な資産運用をおこないましょう。

4.損失が出ても損益通算ができない

NISA以外の投資信託口座(一般口座や特定口座)で投資信託を購入した際に、運用がうまくいかず投資信託を売却して損失が出たときは他の投資信託や株式で得た利益と損益通算することで税負担を下げることが可能です。しかしNISA口座(一般NISA、つみたてNISA両方とも)で発生した損失は、NISA以外の口座(一般口座や特定口座)の利益と損益通算ができません。

5. NISA以外の口座で購入した資産はNISA口座に移せない

NISA(一般NISA、つみたてNISA両方とも)は新規の投資が対象です。したがって、すでにNISA以外の口座(一般口座や特定口座)で保有している株式や投資信託をNISA口座に移すことはできません。「特定口座で含み益があるから、購入した投資信託をNISA口座に移して課税を回避しよう」と思っても、それはできないので気をつけましょう。

一般NISAとつみたてNISAどちらがいい?

前述の注意点の2つ目で解説の通り、一般NISAとつみたてNISAはどちらか一方しか選択できません。 一般NISAとつみたてNISA、どちらを選択するかは悩ましいところではありますが、資産状況やライフプランによって判断すると良いでしょう。

一例を挙げれば、収入や預金に余裕があり、1年間で100万円程度運用したいと思われる方は非課税投資枠が比較的大きい一般NISA(新規投資額で毎年120万円が上限)が向いているといえますし、少額をコツコツ(新規投資額で毎年40万円が上限)と積み立てて老後資金に充てたいと思われる方は、非課税期間の長い(最長20年間)つみたてNISAが向いているともいえます。 中には一般NISAを利用して、自動積立投資と同じ効果を得たいと思う方もいらっしゃるかもしれません。 投資信託の中には最初にまとまった金額を投資して、その後はファンドマネージャーが世界中の株式や債券への投資比率を変えることで、自動積立投資と似た効果を得られるものもあります。そのような投資信託を一般NISAで購入することも資産運用の方法の一つです。

NISAで資産運用するメリットを体感しよう!

ここまで投資信託を購入する前に理解しておきたい5つの注意点を解説してきました。 続いて、実際に一般NISAとつみたてNISAで資産運用した場合の事例を見ていきましょう。

一般NISAで運用した場合

例えば数年にわたり一般NISAで300万円分の投資信託を購入したとしましょう。これが幸いなことに20%(60万円)の利益が出たため、投資額の300万円と利益の60万円の合計360万円で売却したとします。60万円の利益に対して、NISA以外の口座(一般口座や特定口座)であれば約12万1,890円(復興特別所得税を含む)の税金が発生しますが一般NISAで購入しているため税負担は0円です。

つみたてNISAで運用した場合

つみたてNISAの例も考えてみましょう。年間の投資上限金額40万円とほとんど同額になるように毎月3万3,000円を運用期間の上限である20年間ずっと毎月コツコツと積み立ててきたとします。運用中の平均利回りが年率3%の場合、最終積立金額は約1,083万3,966円(※)、その内訳を見ると元本が792万円、運用収益は約291万3,966円になります。
※金融庁ウェブサイト 資産運用シミュレーションを使用し算出

運用収益が約291万3,966円ということは、NISA以外の口座(一般口座や特定口座)であれば約59万1,972円(復興特別所得税を含む)の税負担が発生します。しかし、つみたてNISAで運用しているため、税負担は0円です。

ちなみに運用利回りが年率5%になると最終積立金額は約1,356万4,111円で、その内訳を見ると元本が792万円、運用収益は約564万4,111円になります。NISA以外の口座(一般口座や特定口座)であれば、114万6,601円(復興特別所得税を含む)もの税負担が発生することになりますが、つみたてNISAで運用しているため、税負担は0円です。このように、運用成績が良ければ良いほどNISAを活用しているメリットを享受することができます。

投資信託を購入の際はNISAの活用も検討してみましょう

NISA以外の口座(一般口座や特定口座)であれば支払う必要がある20.315%(復興特別所得税を含む)の税金がNISAを活用すると非課税になることは大きなメリットです。しかし本記事でも解説の通り注意点がいくつかありますので、NISAを始める前には理解しておきましょう。

投資信託を用いた資産運用に関しては、これまでの連載で解説してきた分散投資や積立投資の概念が大きなヒントになることでしょう。もちろん本記事もぜひ参考にしてみてください。

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